STORY

此処はどこか? それは分からない。 現在(いま)は何時か? それも分からない。 俺はいったい誰なのだろうか? それさえも分からないまま、ただ魂だけが起立する。 目から耳から皮膚から流れ込んでくる情報は、 いつだって俺を苦しめ、世界の片隅まで・・・…

最初に私が生まれたのは、彼が中学を卒業する間もない日だった。 当時、彼には仲の良いクラスメイトがいた。席は隣同士、同じ給食係で、お互いにボケとツッコミを繰り返しては楽しい時間を過ごしていた。 彼自身は気付いてなかったけれど、彼は彼女のことが…

此処は、何処だろう・・・? 真の物語は、始まりさえ予感させない。 ただ、静けさばかりが通り過ぎていくのだ。 何処かで降る雪があるならば、何処かで人知れず溶け始める雪もある。 誰の目にも触れないように。ひっそりと春を迎えるように。 私は、孤独の中…