相変わらず、雪という生き物は、容赦なく降り続けていた。
20㎝は積もっただろうか、いつもより早起きだった理由は他にもあるのだが、それは今となっては気にするべきもない事だ。あまりの寒さに目を覚ましたのだと思いたい。


雪道を通りながら、私は思った。
「このままずっと降り続きそうなこの雪も、いつかは消えてしまう。春を迎えるまでなのか、あるいは明日にでも消えてしまうだろうか」


それは、私という存在も同じだった。


彼から迷いが消えた瞬間から、私は自分の存在が長くないことを悟った。
それは、3番目。まだ存在さえ不確かな、「私」でも「僕」でもない、もう1人。
「彼」から何が生まれるのか、それは私にさえ分からない。
ただ、彼がそれを望むのであれば、私はそれに従う。


今年も、もうすぐ終わる。
いったい明日の彼は何を思うのだろう。


私は彼。
彼が見るモノ、聞くモノ、感じるモノすべてに、愛を与えたい。